THE PEANUTS
1980年代の終わり頃から古材は徐々に市場に浸透し始め、原宿の裏通りを皮切りに全国各地へと広がって行きました。
世界中の市場を見渡しても(そのクオリティーにはピンからキリまであるとはいえ)市民権を得てきました。リノベーションなどという言葉も派生し、又アイアンという良きパートナーにも恵まれ、実に長い期間市場から「お声がかかった」素材と言えます。古材の黎明期には、そのままのワイルドさで、そしてオイルで仕上げたり、塗装や仕上がり感の相性を見て、色つきのワックスで仕上げたり、ウレタンで固めたり。様々な方法でそのポテンシャルを引き出してきました。表面の質感もネイチャーのままから始まり、ディストレスト仕上(半分表皮を剥いて仕上げる方法)を施したり。何年間もの間に、これらの試行錯誤を経て、ようやく市場との接点を見出し古材は歓迎されてきました。実はこの"接点"というのが実に大切なわけで、接点を誤ると全く市場性は低下します。例えば、卵は生卵のままであれば受け入れられる市場は、小さな市場でしかありませんが、ボイルド エッグ そして、スクランブル エッグ、サニーサイドアップなどのように調理することによって市場性は高まりました。さらにオムレツ、エッグサンド、出し巻き卵から始まり、最近ではエッグ ベネディクトのようなモノまで出てきて卵の市場を大いに拡大しました。 同時に我ら消費者の喜びも高まりました。 全く嬉しい話です。このように素材を活かした相性の良い調理法によって、多くのポテンシャルを持っている素材は生きてきます。木も全く同じで、それぞれの特徴ある木にそれぞれあった調理法を施すと、喜びの増す製品となって市場で映えます。 昨今市場には黒鉄の姿は薄らぎ、黄鉄(ブラス)赤鉄(カッパー)が目にとまるようになってきました。 そうすると、木もその市場にあった仕上げをしてあげると相性よく現場に同居します。例えば黄色味のあるブラス色。これにはやや落ち着いたオーガニックなピーナツのような色の木が合ってきます。赤味、ピンク味のあるカッパー(銅)素材にはウォルナット色がとてもよく合います。 これらは相性ですので言い切れば黄金コンビと言えます。そのうちにブラスには緑、ウォルナットには赤といったものが相性の良さの中で出てくるでしょう。また、今まで見たことのない相性で白銀コンビとも言えるブラス+グレイ、カッパー+1(something)というのも出てくるでしょう。ファッションや料理と同様にインテリアにも相性はつきもので「食べ合わせが悪いと消化不良を起こす」という現象が起こります。逆に旬なものが黄金コンビを伴って市場に溶けると、なんだか気持ちの良い空間が発生するわけです。TSUKU-HAEのPEANUTS FINISHはそんな意図から生まれました。ブラス カラーとピーナッツ カラー。素敵なコンビネーションです。
茶房『天井桟敷』由布院
「天井桟敷」とカフェに命名するあたり、文化芸術に造詣が深い。ということが察せます。「天井桟敷」と聞いて最初に思うのは寺山修司の主催する劇団の名前。もともと「天井桟敷」とは、所謂「大向こう」という事。劇場の最後方で、最上階の天井に近い場所にある『安い席』の事ですが、この大分県の由布院にある茶房「天井桟敷」も中二階席があり、この席こそが天井桟敷の中の天井桟敷と呼べる席。と言えます。食事・コーヒー・デザートどれも美味しく何よりも入り口を開けて最初に耳に飛び込んでくるグレゴリオ聖歌の音楽が、一瞬にしてこのカフェの世界観でもって包んでくれます。訪れる際は是非、中二階。天井桟敷へ。「モンユフ」と呼ばれるスィーツ。特にお勧めです。
O L I V E R P E O P L E S " K A F F E E "
OP505以来のオリバー ピープルズ。 この " K A F F E E " のシェープは 1960年の映画「A BOUT DE SOUFFLE」 のジャン ポール ベルモンドを彷彿とさせる。監督はジャン リュック ゴダール。ヌーベルバーグ(ニュー ウエーブ)と当時言われたこの映画。今もってモダンであり続けています。
1940〜50年代をイメージさせるモスコットのユケルやレムトッシュも素敵だが、この50年代後半から台頭し、60年代を代表するバタフライ的デザインは妙に懐かしく、新しい。レンズをブラウンのカラーレンズにして50%の透明度にすると、より当時の時代感が出て面白そうだ。久しぶりに興味を惹かれる眼鏡に会った。
KAFFEE (カフェー)とはドイツ語。 英語でCOFFEE。 コーヒー好きの僕にはうってつけの名称でとても気に入っています。
G e o r g e K. N a k a s h i m a
r i g h t h a n d
リード マイルスやエゴン シーレを彷彿させるジョージ 中島のタッチ。好きです。
裏路地
都会と言わず、田舎町と言わず必ずメインストリートと対のように裏路地がある。最たるは京都にある木屋町、先斗町。 東京では新宿ゴールデン街や渋谷呑んべえ横丁。メインストリーム足り得るカルチャーに対してサイドストリーム。 アンダーグラウンドなサブカルチャーはいつもこの路地裏に寄り添って存在する。
僕が若い頃暮らしていた高円寺にある四丁目カフェなども、その典型的なサブカルチャーのカフェだったように思う。例えば、日曜日の昼下がりに片岡義男の「湾岸道路」を抱え、四丁目カフェでゆっくりとコーヒーを飲みながら読書を楽しむ。BGMはフェアグラウンド アトラクションだったか、メリー コフランだったか。エクストリームのモア ザン ワードだったかは定かでないがそこではとても豊かな時間が流れていた。意図した作為性がない、自然発生的なカフェが裏路地にある。それは文化そのものがそこにある。というのに等しい。カフェはコーヒーを飲む為のものだけにあらず、集い語る、市井の人々が持ち寄る高度な文化が離合集散する場所であり街には欠かせない場所である。中目黒にあるオニバス コーヒーもそのような裏路地にあり、各地から美味しいコーヒーと文化に触れたいボヘミアンが集う格好の場所になっている。路地裏文化こそが、訪ねて歩くに相応しいその地域の自然発生的な場所であり、街の素顔を垣間見せる場所と言える。そんな裏路地にどういうわけか僕は惹かれる。思えば僕はTSUKU-HAEを通じて、そんな裏路地にマッチするものを考案したい。といつも考えているように思う。
Walk on the back street !!
Cafe Chair #14 (BLACK)
Location : Wythe Hotel ( Ground Floor Restaurant Reynard) , Brooklyn , NY
B a r S t o o l ( B l a c k )
Location : Line Hotel ( Roof Top Bar ) , LA , CA
B a n a n a C h a i r ( B l a c k )
Location : Ace Hotel DTLA ( Ground Floor Restaurant : Chapter ) , LA , CA
A R E G I S T E R E D T R A D E M A R K
BLOODY HELL !! Well,I have a long way to go.
S I G N
古都京都。古に習うか、新風を興すか。京都のサインはどれも面白い。
LA CONFIDENCIAL......... :-D
LA チャプター
LAのダウンタウン。エースホテルのグランドフロアーにあるレストラン LA チャプター では腰板がよく使われている。多分この腰板はtongue and groove panelingで、画像のサイズは3 inch。二階に上がる階段の右袖と二階の壁で使われているパネリングは9 inchのように思われる。腰板のほとんど黒に近い深い緑色のペイントと窓枠のほぼ黒のペイントは、アメリカ バーモント州にあるファイン ペイント オブ ヨーロッパズのペンキを使用している。 その塗装の厚みから見て、多分オイルペイントのように思われる。この深い緑と黒の配色。床のセメントタイルのブラック アンド ホワイト。ところどころに見られるブラス素材。そしてレストランで使用している 黒く塗られたThonet Banana chairs。デザイン事務所コミューンの作ったオリジナル整形タイル。本当に見所満載のレストランである。その上ブルックリンの人気レストラン ファイブ リーブスがここを運営しているので味は保証つき。ピカイチのレストランである。
TSUKU-HAE ORIGINAL
DOUBLE LAYER STRUCTURE WORK DESK, POSTER FRAME & BARSTOOL
TSUKU-HAE ORIGINAL
ASPDIN TABLE with wheel
butaka chair
ブタカと聞いて「あ〜、ブタカね」という人は少ない。写真はアメリカ、ロスアンゼルスのダウンタウンにあるエースホテルのルーフトップ バー。ここでもブタカチェアが沢山使われています。遠くメキシコで作られ、今となってはアノニマスなデザインとして知られるようになったアズテックな家具があり、その総称をエキパレファニチャー(Equipales Mexican furniture)と言います。デザインのルーツはスペイン。この家具はメキシコではトラディショナル ファニチャーとして現在も製作されています。そのエキパレファニチャーの内、この最もベーシンクなデザインで出来た椅子がブタカチェアです。エキパレファニチャーは豚の皮を張り詰め、シートから下の部分はローズウッドやシダーウッドで作られています。メキシコ製ですから、もちろんかなりラフなハンドメイドです。座った感じは奥行きが非常に深く、背中から緩やかに下りてくる曲線部分に袖が置け、とてもリラックス出来るフォルムをしています。腰にクッションを置き、足元にオットマンを置けば何時間でも読書ができそうなくらい座り心地の良い椅子です。そしてリゾート地やラウンジにはもってこいの意匠をしています。メキシコを舞台にしたアメリカ映画を見ると、エキパレファニチャーはとてもよく登場します。メキシコ南部の高級リゾート地 カンクーンやアメリカ南西部の国境の街サンディエゴ、そしてニューメキシコ州サンタフェなどでもよく見かけます。特にサンタフェでは街全体に、メキシカンの雰囲気が漂っているので、あの街のキャニオンロード(アートやギャラリーのある通り)やピンク アドービ(100年以上経つアドビ建築で出来た人気レストラン)などで見かけるとつい買って帰りたくなります。LAに行く機会があれば、是非ダウンタウンにあるエースホテルのルーフトップ バーでその座り心地を確かめてください。葉巻を片手にモヒートやピニャコラーダを楽しみたくなる、そんな別世界感が漂うONE OF THE KIND.......のファニチャーです。
One of the good music
普段、邦楽を滅多に聞かない僕でもこの二枚のアルバムだけは別格。山下達郎の「RIDE ON TIME」とナイアガラ トライアングルの「ナイアガラ トライアングル VOL.2」の2枚人生が豊かになる良い音楽との出会い。「人は幸せだから歌うのではない。歌うから幸せになるのだ」by ウィリアム ジェームズ
NO MUSIC , NO LIFE
ICE と HOT
冷やして美味しく、熱して旨い。いつの季節もコーヒーは愉しむことができますね。
コーヒー豆をミルで引くとわかることがあります。それは浅煎りと深煎りの差。 電動ミルでは感じることのできない豆の硬さを手動のミルを使うと感じることができます。深煎りは然程労力は必要としません。しかし浅煎りは、これは汗を流しながら廻さないと美味いコーヒーには辿り着けません。ですから、夏場のオススメは深煎り。 苦労なく美味しいアイスコーヒーに辿り着けます。
WALLY'S CREED (変わらない主義)
AIRSTREAMは1920年代の終わりころロスアンジェルスで始まりました。すぐに世界恐慌がおこり、娯楽ではない世が来るとアメリカで興った多くのキャンピングカー、トレーラー製造会社は1930年代の半ばにことごとく倒産の憂き目を見てしまいましたが、このエクストリーム社のみが辛うじて生き残りました。創業者はウォーリー。アメリカでは今もウォーリーの考え方を崇拝し、そのスピリッツに傾倒する人々は後を絶えません。現在でも全米でWBCCI ( The Wally Byam Caravan Club International )と言う組織がありエアーストリーマー達は独立記念日の前後に集います。また、アメリカのキャンプ場にはWBCCIのメンバーでないと入れないようなキャンプ場も存在します。草原のような場所にエアーストリームばかりが並んでいる景色は圧巻ですね。現在のエアーストリームの車内はそこそこ広く、ソファー、キッチン、冷蔵庫、トイレ、シャワールーム、そしてベッドにクローゼット。さらにオーブンにエアコンまで付いています。窓の開閉はとても機能的で網戸がとても役に立ちます。室内の設えはオーク材。ドアノブは真鍮。小さくてコンパクトな中に行き届いた設え。車に例えるならばMINIのような感じです。フロンティア スピリッツが詰まったエアーストリーム。
サバイバルの世で、まさに生き残るアメリカのアイコン。そして孤高のデカ。リーサルウエポンのマーティン リッグス刑事(メル ギブソン)のドヤ(家)を思い浮かべますね。
JAZZ makes..........
左からチャーリー ミンガス、ホレス パーラン、ビル エヴァンスさん
ミンガスは親しいのでチャールズと呼びたくなく、ビル エヴァンスはどこか先生の様なのでエバンスさんと呼びたくなる。和田 誠さんと村上 春樹さんが組んで出した本に「ポートレート イン ジャズ」というタイトルの本がある。挿絵を和田さんが描き、逸話を村上さんが書いている本で、この本はとても面白い。村上さんは昔ジャズ喫茶を経営されていたくらいなので相当お詳しいはずなのに、掠るほどしか小説にジャズは出てこない。片岡 義男さんも昔、ジャズの小説は売れない。と言い切っていて、やはり自身が書く小説にジャズは掠るほどしか出てこない。でもこの本の中でジャズについて村上さんは大いに語っていてその視点がとても面白い。かくして数多あるジャズのレコードの中から、その本にぴったりのタイトルが選ばれた。「ポートレイト イン ジャズ」と。これは画像右上のビル エヴァンスがトリオで作ったアルバムのタイトルから来ている。僕はアルバムの中の曲では「BLUE IN GREEN」のTAKE3が大好きで、マッキャランとスルメの足とこの曲があれば1時間は幸せに過ごすことができる。そんな素敵なアルバムです。左上のチャーリーの「ザ・クラウン」というアルバムは道化師の顔が特徴的でアクロバティックな感じがするジャケットですが、内容は彼が演奏するベースがドライビングするとても硬派な曲で特に一曲目の「ハイチ人の戦いの歌」などは植草甚一さんも気に入っていたとても素晴らしいナンバーです。デューク エリントン的と言われますが、コンポーザーでもあるチャーリー ミンガスの作るオリジナルの世界観はとても良いです。 ええ、ビールと枝豆とチャーリーがいれば2時間は過ごせます。残るは真中。ホレス パーランの「 US 3 」これはもう言うこと無し、梅雨入り前の今の清々しい季節。車の窓を開け放って、タイトル曲の「US3」をボリュームを大きくして聞いてみましょう。すると、「馬鹿野郎 うるさいぞー」といった目つきで道行くハイソな方々に怪訝な顔をされる事でしょう。はい、先ほど葉山でそのようにして楽しんでいたら、そのようにお叱り顔をいただきました。それでも葉山のマーロウのプリンとホレスパーランのおかげで5分間は幸せでした。
JAZZ makes me happy . always !!
A D V E R T I S I N G と言う名の魔法
広告を考えるとき「激安」や「限定」といった即物的な手法や、動物や子供、ファミリーの演出によるアットホームな感じ、著名人を用いたファン心理のくすぐり、素敵な日常を切り取ったライフスタイルの喚起など、様々なひな型が今日あり、法則のような形でCMが作られ、メディアに流される。それでもどれも凝っていて、最近のCMは見ていて楽しい。そんな中、一見何の脈略もないモノを使って広告を作る会社が幾つかある。それらは一際カッコ良くできていて、すっと懐に落ちてくる。
例えばこのポスターのように。
この画像はアメリカの塗料メーカーの広告で、メーカーはペンキをコマーシャルしているのにジーンズの方が先に立っている。
この独特な演出は、キャボット社の広告手法である。アメリカのキャボットはサミュエル キャボットさんが始めた会社でいわゆる世にあるステインを作った会社。創業は1877年と古く、カーチェースの映画でホームセンターに車が突っ込むとお約束のように、このキャボットの黄色い缶が落ちてくる。それくらいアメリカではメジャーな存在だ。日本から一番近い場所ではハワイのシアーズに置いてあった様に思う。彼らが「グレー色を売りたい」と欲した時にはペンキ缶の周りに沢山の釘をばら撒き、紫色を売る時はプラムに囲まれる。ときにはトマトやレタスも登場する。彼らは、見事に、その脇役たちが巷に形成した先入観に入り込む。そして彼らのペンキの色が、時には美味しく見えたり、輝いて見えたり、渋く見えたり、フレッシュに映ったりさせる。世界中でつくられるコマーシャルは、どれも実に巧みにできているが、いつまでもいつまでも解けない魔法の様な威力を発揮するコマーシャルもある。それは実際の製品が、そのコマーシャルがかけた魔法を上回るほど良いものである場合におこる。そう、このキャボットの様に。
C O N C R E T E と 幾何学
兆しからお目見えに。
鎌倉御成町にあるスターバックスは「フクちゃん」を描いた漫画家横山さんの持ち家をリノベーションして始まった瀟洒なコーヒーショップで、僕も昔からロードバイクでここまでよく通いましたが、この4月に改装。月末にオープンしました。六角形の天板やタイル。ウォルナット材の椅子。そしてコンクリートで出来たビッグテーブル。ガーデン。兆しとして現れた様々なトレンドをいち早く具現化して、とてもワクワクするお店に仕立て上げました。全く新しい、ブランニューなお店。ドリップコーヒーも淹れてくれる特別なメニュー。そしてとても居心地の良い内装でもう、自分がどこにいるのかわからなくなる気持ち良さがあります。何時間も居たい。そんな御成町スターバックス コーヒー。
- DAVID DOUGLAS - debut
TSUKU-HAE Ready made furnitureはアスプディン(コンクリート ファニチャー)、カーネギー(アイアン ファニチャー)、イッテン(ディストレスト フィニッシュ)、ノーベル(プライウッドファニチャー)の4ラインで始まりましたが、新らたに「デイビッド ダグラス」(キャラクタブル ウッド ファニチャー)ラインが加わります。キャラクタブル ウッド ファニチャーと言う事だから先ずは木の話を。
木は地球上にたくさん生息していますが、面白いもので、それぞれ地場色を持っています。寒い場所に生息する木は白く、暖かい地方に行くと赤みを帯び、暑い場所になると褐色に近づく。そうなるとこれはもう人間と変わりません。そして男っぽい木もあれば繊細な表情の女性っぽい木もある。都会の顔をした木もあれば、レッドネック(首が日焼けした田舎の人)の様な顔をした木もある。
そして、そんな木そのものが持つ際立った個性やキャラクターを空間で上手に用いると、ただの木がそれ以上の存在となって、例えるならば名脇役となって空間で名演を果たしてくれます。例えば、「日本的な表現をしたい」と考えると杉、ヒノキ、竹、松を用います。すると和風の設えにピタッとおさまります。まるで女性が着物で現れたように。そしてメープルを使うとフランスやカナダのイメージが出ます。女性的で柔らかい雰囲気。キャロル ブーケ、イザベル アジャーニ、オドレイ トトゥ、ジュリエット ビノシュやソフィ マルソーといった雰囲気です。
そしてオークを使うと男性的、バーバリアンな英国の雰囲気が出ます。バブアーやガンジーセーター、トリッカーズにマッキントッシュの様な無骨な衣装にジャストフィットします。またダグラスファーを使うと大雑把で屈託のない米国の感じが出ます。ジーンズを飾る背景の壁や、コンバースのスニーカーで踏む床、アウトドア イクイップメントを扱うお店ならば最適な素材。まさに「THE USA.」と言える素材です。
木を使って空間をどのようにしようか?と考える際に、この様な木の出自に思いを馳せると符合があってきます。不思議なもので16年間も毎日木を見ていると、イミグレーションの窓口担当官のように、旅行者の顔を見れば、一目で出身地が「当たらずも遠からず」という領域まで来るものです。さらに品種と名称について。
世界中にある豊富な樹種には、いろいろな名称が付いていますが、学者は植物学的に木を見ると先ず”種”で大分類を行い、xx科という小分類を行い、さらに細分化し界や目、属などに枝分けしてファイリングします。まぁ一般人にとってはほとんどがどうでも良い話です。こんな話を女性の前ですれば、相手は5分で寝てしまいます。実際問題そんなことよりも例えば「オークは森の王様」と言われます。こういう話の方が、がぜん好奇心も興味もわきます。さて、画像のウォルナットです。
ウォルナットもアメリカっぽさが漂う木の代表です。もっと掘り下げて出自に迫って行けば、カリフォルニア的、西海岸的と言えます。ウォルナットは西海岸が主な産地ですから、空間で使うと西海岸の地場色が出ます。過去、ウォールナット材は大人気の時代があって、そのままちょっと高級なところに置かれっぱなしになってしまった為にリッチ感だけが走り始め「森の宝石」などと呼ばれました。もっと日常的に、もっとカジュアルにウォールナットを使うと面白いのになぁ。と思って現代のアメリカ家具展などに足を運ぶと「やってるなぁ」という感じで多種多様のウォルナット製品を目にします。ブラスやカッパーなどとも組み合わせながら、どれもとてもカジュアルで素敵でした。画像のテーブルも、「ダグラスファーとは一味違った、もう一つのアメリカ。 ザ・ウエストサイド」を標榜するためにウォールナット材を使用していますが、高級なイメージ、例えば固さや緊張感といった感じをなくすために、エッジをアール面で丸く仕上げ、廻り縁を廻しています。ぷっくらした感じに親近感があります。これは弊社のオリジナルデザインですが、とてもTSUKU-HAE的、個性的な意匠でできています。今後もウォルナットに限らず、個性際立った地場色の強い素材を使った家具のラインをこの「デイビット ダグラス」として加えて行きます。 スコットランド出身のアメリカ人、ハワイで逝った、植物学者。アメリカで最もたくさんの木の名付け親となったDr . デイビット ダグラスに敬意を表して。
ROAD BIKE EQUIPMENT
80年代の鈴鹿サーキット、当時行われていた8時間耐久レースやロードレース世界選手権を観て痺れた若者たちはオートバイを速く走らせる事に夢中になり、峠に行き、コマーシャル用のスポンサーラベルがペタペタと貼られたワンピースのレザー製ウエアを纏いコンチネンタル サーカスに出場するレーサーそのものの様な形をしてオートバイ ライフを楽しんだ。ハーレー ダビッドソン的なライフスタイルの楽しみ方でもなく、カフェ ライダー的なモッズスタイルでもなく、刹那的にコーナーを攻め、オートバイのポテンシャルを引き出し、スリルと緊張感の中で生き急いだ。「攻める」。とても80年代的ライフスタイルだった。今また新たに大排気量のオートバイが巷に現れ、BMWから長距離のツーリングを楽しむためにデザインされたモノが発売され、トライアンフ、モトグッチ、そしてドゥカティからもスクランブラータイプが発売された。又古いダート用のオフロードバイクやホンダ、ヤマハ、カワサキのオールドバイク達もレストアされ、クラシックで普遍的なデザインに再び人気が高まったりしている。それぞれのオートバイの背景にそれぞれのライフスタイルや装備があり、楽しめる豊かな時代となった。自転車の世界も同様で、それぞれの自転車の背景にそれぞれのライフスタイルや装備がある。昨今ストイックな生き方や、地球環境問題を真摯に捉えた時に自転車は欠かせないモノとなった。先進国のしかも都市生活者においてそれは顕著であり、また新たなる人生の中の楽しみとして21世紀以降大いに発展している。静かに、黙々と一人で100㌔の距離を走る行為は、精神の統一と自然との融和が叶い、そして何よりも全身の細胞が深呼吸したかのような爽快感を走った後に感じることができる。そんな走りの為に必要な装備は、(この21世紀には)探す間もなくあちこちで手に入る。そして走り始めると、ウエア、シューズ、ヘルメット、グローブ、ホイール、水筒、タイヤとますますたくさんの装備が欲しくなる。そんな「走りに必要な装備達」。ところが、装備によって走りたい。と感じさせるものもある。英国のメーカー「RAPHA」が作るロードバイク用のウエアがその一つである。
「このウエアーを着て走りたい。」「このウエアーを着るために走りたい。」そんな走る動機を起こさせるウエアは僕が知る限りラファ以外に存在しない。
無駄のないデザイン、高機能、クラシックなスタイル、何よりも自転車が好きで好きでしょうがない、自転車のある暮らしが大好きな人が作ったモノであると製品が語っている。そしてわずか10年でブランドの中にクラシックラインが出来てしまった。そのデザインは創業時からすでに完成していて、その普遍的な製品は今日も製造し販売されている。そんなスタイルを持つ装備は、自身のスタイルと重ねて図ることができる。ライフスタイルと同化することができるウエアはその人の思考性や社会性の代弁者となってくれる。ゆえにライダーは多弁にならずとも、語ることなくとも、纏うだけで多くを語ることになる。普遍性を兼ね備え、デザインされた装備の背景には必ず社会へのメッセージがある。逆に、メッセージが見えない装備品は安価で便利だが、きっと古くなったら惜しまれることなく、余儀なく現場から退場させられる。
そしてそれらはリサイクルされることなく、無価値なゴミとしてただただ処分される。創造主の積年の想いがこもった装備品は、簡単にゴミにはならない。
なぜならば、それはうわべだけの製品ではなく、その人の長年培った経験、必要性、そして表現力を伴った意匠を練りに練られて創られているからである。
LEE - WAY ライオンとウルフ
リー モーガン。 夭折のトランペッターはまだ三十代の若さでこの世を去った。
ニューヨークにあったジャズクラブ「スラッグス」でプレイしていた彼は、演奏の合間の休憩時間に愛人が持つ拳銃から放たれた銃弾によって倒れた。
ほぼ即死。天才の拙速な人生は幕を閉じた。リー モーガンを撃ったのはヘレンと言う女性で、彼女は奥さん同様の立場だったのにどの本を読んでも、なぜか「愛人」と表現される。理由は、彼には前妻がいて別れはしたが正式に離婚していなかったからだ。前妻は日本人女性。リー モーガンが「ヤマ、ヤマ」と呼んでいたKiko Yamamoto。幸せな結婚生活のスタートだったが、リーモーガンがドラッグにはまって行くことによって人生が転落。二人は別れ離れとなった。さて、LEE-WAYの話だ。
この「ヤマ、ヤマ」と親しく呼んでいた彼女とリー モーガンとが親しくなったのは合コンの席でだ。合コンのメンバーにはマイルス デイヴィスもいた。のちに世界に無双と言われる若き二人のエースと合コンしたヤマモトさんはさぞかし美人であったに違いない。その後、二人は電撃的に結婚。そしてわずか三ヶ月後に収録されたのがこのアルバム。「LEE-WAY」だ。- (ハイフン)を外してLEEWAYだけになると「余裕」と言う意味あいなのだが、リーの名前に引っ掛けてLEE-WAYとすることで、「リー的な」という洒落たタイトルになった。この幸せに満ちた時期、ノリに乗っているリー モーガンの演奏はとても素晴らしくてリリカルだ。中でも「THE LION AND THE WOLFF」というタイトルのチューンは素晴らしい。イントロダクションの低く始まるピアノは、いつまでも頭の中を旋回する独特なフレーズで始まる。そしてタイトル。LIONとはこのアルバムのレーベル、ブルーノートの創業者、アルフレッド ライオン。そしてWOLFFは共同経営者フランシス ウルフ。二人の名前からできている。
ターンテーブルにレコードを乗せ、音楽を聴き、アルバムのジャケットを眺めながら、タイトルを思い、曲の由来を知り、背景を思うと、中古レコード店でわずか900円で手に入るジャズの古いレコードが、とても多くのことを語りかけてくれている事に気がつく。そしてこの秀逸なジャケットデザインはその全てを物語っている。「背景」、「由来」、「思いや物語り」それらを折り混ぜ、ろ過した後に雫となって最後にデザインが滴り落ちる。世に言う企画やデザインとはかくあるべきではないか?。
G R E E N , G R E E N & G R E E N
1990年代、ネバダ州のラスベガスで行われたMAGIC SHOWにはよく出掛けた。場所柄「マジック ショー」と聞けばイリュージョンの公演のように思われるが、これはファッションのトレードショー(展示会)で全米のアパレル、フットウエア、アクセサリーなどのメーカーが新作をお披露目する場所だ。当時はTHE NORTH FACEやPATAGONIAを筆頭にアウトドア、サーフ、スケートボード、スポーツなどのブランドがビッグウエブとなって日本に押し寄せ、窮屈な日本の日常着を解放した時代だ。
ナイキのエアーマックスは信じられない高値を付け、湘南海岸にはハワイやLAのハンティントン ビーチ系のサーフ、スケーターブランドが出現し、街中にはダウンジャケットが溢れた。ピーク時にはLAの南に位置するメキシコとの国境の街サンディエゴでASR SHOW(アクション スポーツ リテーラー ショー)が開かれ、日本からもバイヤーが溢れ、ショー最終日の打ち上げではバンドの演奏するカクテルパーティも盛大に開かれた。そんなファッションの展示会でよく耳にしたことがある。「日本人は緑を買わない」。僕はバイヤーではなくトレーディングカンパニーの人間だったので、「そんなものかな?」と思いつつ、同席したバイヤー数人に尋ねると、「緑は売れないから仕入れない」とその話を裏付けた。それ以来、俄然緑色が気になり始めた。そういう目線で日本を眺めると確かにファッションといいインテリアといい、当時の日本に緑は希少だった。逆に緑をうまく使うことで、欧米の風は表現できると確信を持った。画像はNYの風景、柱、ファサード、照明、ゲート。どこも緑色の使い方がうまい。西洋人は髪の色が栗色や赤毛だったり、瞳が青や灰色だったりと、緑とマッチするいでたちをしている。ゆえにファッションやインテリアに緑が映えるのか?と昔は考えていた。 時は下がり21世紀になり、日本を振り返るとあちこちで緑色を見かけるようになった。若い人たちも実に上手に緑を着ている。インテリアにもソファの張り地が緑のものが増えたりした。それでもまだまだ緑色の浸透性は薄い。古くから日本にも萌黄、若草、松葉、青竹、青磁、緑青、わさび色、抹茶と、パッと思いつくだけでもたくさんの緑がそこここで使われていた。緑色は「自然」をイメージさせ、人々をホッとさせ、争わず、セーフティーであり、環境や生命力といったことを連想させる。インテリアにおいて、最も求められる要素を緑色は内包している。ゆえにコンクリートジャングルにこそ緑は必要とされる。
木樹の緑はもちろん大歓迎であるが、色彩の緑によって心安らぐのであれば「目に青葉」に国境はないと思う。
T h i n k G r e e n
S T U F F (道具)
日本のクラフトマンシップ H A R I O M A G I C
C E R A M I C C O F F E E M I L L - W O O D - & G R A S S D R I P P E R - W O O D -
コーヒーミルやドリッパーは世に数多あれど、その機能性に造形美を兼ね備えたものにはなかなかお目にかかれない。
しかし、このハリオのミルとドリッパーはその二つの要素を満たし、かつ、素材感まで兼ね備えた本当に憎いやつなのだ。とは言え、ミルは手動ゆえ「ガリガリ、ガリガリ」と誠に力を入れて ( 臨場感たっぷりに言えば ) 疲れる手前まで腕力を使ってぐるぐるとハンドルを回さなければいけない。ガガガがのちガリガリになり最後にはカリカリとなる。手動ミル特有の音だ。そして同じウッド(オリーブウッド)をまとったドリッパーでドリップ。一連の流れは非常に的を得た構図となってコーヒーの道具以上の造形美をそこに感じさせる。洗剤で道具を洗う時、その質感に手の皮膚が気づく。木は木、ガラスはガラス、セラミックはセラミックである事を意識させる。どれもプラスチックではない本物の素材の質感。特に耐熱ガラスでは右に出るものがないハリオならではの円錐の形状をしたガラス製ドリッパーは芸術的なフォルムをしている。手に取った握りの感じが良い。これが量産品であって、量産価格で販売しているということが当たり前のようでいて、実は極めて素晴らしい事のように思えた。まさに産業の革命品と言える。今や日本のハリオは、H A R I O としてアジアや米国。そして欧州にも進出し躍進を続けている。 KONOが興し、HARIOが広めたコーヒー用V60ケトルも今やまたHARIOの代名詞となった。ドリップコーヒーという飲み方の仕組みを考案した国、ドイツのメリタ社も素晴らしいが、日本の技を駆使したハリオはとても素晴らしい。日用品と言える工業製品なのに造形美を纏う H A R I O 。コーヒーがいっそう美味しく感じられる。これはある種のマジックである。
パウエルス ブックストアー
PORTLAND OR.
10 バレル ブリュイング
PORTLAND OR.
A D V E R T I S I N G T - S H I R T
旅に出ると、気持ちが大きくなる。そして、ついつい買ってしまうモノの一つにTシャツやトートバッグがある。
後でお土産にもなり、思い出にもなる優れものだ。近頃日本でもホテルやレストラン、カフェなどでお店の名前を入れたTシャツを販売するところが増えてきた。どれもデザインが良くできていて、いや、出来過ぎていて、洋服屋と見間違うほどのモノもよく見かける。 この店先で売るTシャツの始まりは「ハードロックカフェ」だったのだろうか?今やアメリカではポートランドの老舗ブックストアー「パウエルズ」、ニューヨークの「ストランド ブックストアー」、サンフランシスコの「シティ ライト ブックストアー」などスノッブな大型の老舗本屋さんも皆洒落たTシャツを並べ(このTシャツは日本の洋服屋さんの店頭にも並んだ。)旅行者への新たなる好奇心を刺激している。又その昔日本のデパートでもACE HOTELのアメニティーやTシャツ、ブランケットなどが店先を賑わわせた。そんなアドバタイジング満載のTシャツ。
僕は大好きだ。1990年代(20数年前)に出張先のソルトレイクシティのホテルで缶詰になってミーティング三昧だった時に、よく通った近くにある地ビール屋さん(今で言うクラフトビールのお店)「ホッパーズ」で僕は初めて、このお店の名前が入ったTシャツを自分の思い出用に買って帰った。以来、アメリカに出張の際は、店先でTシャツを売っていると必ず買って帰った。チェーン店ではない、できるだけマイナーなお店で、できるだけシンプルなデザインのものを探すのはアメリカ旅行の楽しみの一つでもある。
B & O MoMA パーマネントコレクション
Bang&Olufsen初のヘッドホンは1970年代に発売され1984年に販売が途絶えた「U70」。ヤコブ イェンセンによってデザインされた。
ソニーのウォークマンと共に、音楽を外に持ち出してくれた功労者である。
その後オーバーヘッドタイプのヘッドホンは進化を遂げ、数々のメーカーから雑多なデザインが生まれた。そしてイヤホンの誕生と携帯電話の出現で音楽とお出かけとファッションの間で無限の可能性が広がった。
1985年、B&Oは 「U70」 に変わるヘッドホンとして従前のコンセプトを受け継いだ「FORM 2 」を発売した。(画像)
スティーブ マッグガンがデザインしたこのヘッドホンは瞬く間に人気者となり、2013年までの間ロングセールスを続けた。
その間、この見事なフォルムのヘッドホンはMoMA(近代美術館)のパーマネントコレクションに選定されることにもなった。
そしてオーディオヘッドホンのアイコンとも言える「FORM 2」は、その後「FORM2i」となり、実に気の利いた色をまとってカラーフルになった。
そのおかげで音楽とお出かけとファッションの関係は益々深まっていった。
Tシャツのシーズンが間もなくやってくる。
首元に掛けたヘッドホンの色と、Tシャツの色や柄、スニーカーのカラー。
そんなモノたちの配色や色合わせを楽しむことができると、普通の生活が実にカラーフルな生活に変わる。
パーマネントコレクションとして、このヘッドホンを選定したMoMA、キュレーターの方々の選美眼に僕は敬意を捧げる。
と同時にB&Oのような”インスパイアーされるプロダクト”は我々「モノヅクリの心を持つ者」にとって、実に刺激的である。
世に出した製品が単なるモノではなく、「これはパーマネントコレクションだ。」と思っていただけるような、そんな製品作りを我々も心掛けたい。
FLY HIGH 浮遊する照明
照明器具は天井から下がる為、いづれを見ても浮遊状態ではあるが、個体のデザイン性が強いところに目が行くと「浮いている何か?」
というふうに捉えてしまう。ICFF(International Contemporary Furniture Fair)において僕は何度も目を奪われた。
このようなICONIQな照明が天井に下がった時にマッチする内装や家具。考えるだけでワクワクしてくる。
照明をひとり勝ちさせるデザイン。ぜひ見てみたい。
なんども なんども
試作品を作るのは骨を折る作業の連続。
製作に感謝。
あたり around here............................
だいたいそのあたり、という意味で命名された旧家が立ち並ぶ、この「上野桜木あたり」
ネーミングと言い、設えと言い特別な普通を感じる。 クラフトビアの谷中ビールに酵母パンの萱場ベーカリー、塩とオリーブの店 etc.....
日本的フォークな佇まい。そして居心地の良さ。月一通いたい、そんな片隅にある放っておけない存在。
JAZZ CITY 余韻は朝まで続く......................
NYの中華街で食事をしていると隣に座ったニューヨーカーときっかけは忘れたがジャズの話になった。
「だったら」と、彼はニューヨークにあるライブハウスの情報を次々と僕に寄せる。
時間は夜の10:00。
ジャズを聴くためにニューヨークまで来たわけではないので夜な夜なクラブ周りはできないそれでも彼は熱心にお店を教えてくれる。さすがジャズ シティ。
ニューヨークには今も多くのジャズハウスがあり、それこそジャズを目的に旅すれば毎晩ライブを楽しむことができる。食事を終え、中華街を後にすると
11:00前にはタイムズスクエアー傍のホテルの部屋に戻れた。
がまだ宵の口である。そこで、ベッドの上でニューヨークの地図を広げ、外を眺めるとホテルの2ブロック先にバードランドがあることを発見した。
歩いて行ける距離。11:00開演。ジャズを聴きたい余韻。僕はすぐさま靴を履き、出掛けた。バードランドの入り口にたたずむとショーは始まったばかり。
「席、空いてる?」と聞くと
「カウンターなら」とドアボーイが。
発祥の地から移転したとはいえ、さすがは老舗のクラブ、その夜は比較的落ち着いたカルテットの演奏で、僕はゆったりと90分を過ごすことができた。
演奏も終わり、バードランドのドアを開け外にでる。ファサードの「ザ ジャズ コーナー オブ ザ ワールド」の文字が目に飛び込む。 時間は1:00。
余韻が残る。 まだ1:00。 そこで名も知らぬ近くのバーに入り余韻に浸ってもう一杯飲んでホテルに戻る。2:30。時差ぼけも手伝って、まだ眠れない。
結局、うつらうつらするうちに朝日が昇り、ベッドを出て再びシャワールームへ。さっき寝る前にシャワーを浴びたばかりなのにまたシャワーを浴びている自分に、なんと綺麗好きなんだろかと自画自賛して、服を着替へ、シティ キッチンでパンとコーヒーを買ってセントラルパークまで行って歩きながら食べたヘッドホンからはスムースジャズ グローバル レディオがセレクトしたジャズが流れる。早朝のセントラルパーク。冷めたパンと熱いコーヒーと柔らかいジャズ。
余韻は朝まで続く......................
仕事前の得難い、わずかな贅沢。
ROOF TOP BAR ......... 香るホテル
昨今の宿泊施設は"泊まり"(BED ROOM)もさることながら"遊び"(付帯施設)に面白さが求められる。特にグランドフロアーのレストラン&バーや、屋上がある場合にはルーフトップ バーがホテルの外に開かれていることがその面白さに輪をかける。
ここACE HOTEL DOWNTOWN LA.の場合はそれが顕著で、ルーフトップ バーのBGMはレコード。
椅子は全てエキパレファニチャーのブタカ チェアを、クッションはペンドルトンの生地を使っている。ネイティブ感あふれるヒップ気分満載のバーである。
屋上プールからはユナイテッド アーティストの栄華を偲ばせるカテドラルのような建築物が見える。宿泊抜きで遊びに行きたいホテル。きっと2020年の東京オリンピックの後も繁盛している日本のホテルとは、そのような+アルファの施設があるホテルであろうと思われる。
ルーフトップ バーが賑やかなホテルはエレベーターに乗るのが楽しい。
なぜならば屋上に向かう女性たちは、皆 "薫る服" を身にまとい、非常に良い香りをエレベーターに残して去って行くからである。
scent of woman..............
CではなくK ...............................
K R E A T I O N - O R G A N I C -
ものすごくヘルシーで美味しいお店「クリエイション」
不揃いな有機栽培の野菜をメインにマクロビ、スムージーや野菜・フレッシュフルーツジュースの類も
楽しめるこのレストランはテラス席がメインのオーガニック レストランです。
残念なことに閉店してしまった東京表参道にあったO M O T E S A N D O K O F F E Eと同様に
その商標が"C"ではなくて"K"で創った造語でクリエイションと読むところがユニークだ。
およそ他とは一味違う。トレードマークにもその意気込みが感じられる。
不揃いの土っぽい有機野菜たちのように朴訥なスタッフと素朴なお店とちょうど良い距離がある過剰さ
のないおもてなし。
C R E A T I V E + K I N D N E S S
E A T o r g a n i c ! ! !
EVER CLASSIC 特別なオールスター
撮影場所はLAのダウンタウンにあるACEホテルのレストランバー LA CHAPTER。 ブルックリンの人気レストラン、ファイブ リーブスが運営している。
まだ人気のない早朝7:00
このスニーカーは前日、サンタモニカにあるコンバースのコンセプトショップで購入した。
「いいジャケット着てるね」店員のかけてきたこの一言に気を良くした僕はリップサービスを返した。
「君も良い靴を履いているね」彼の履くオールスターを見て僕は言った。
「持ってる?」
「あぁ、家には沢山あるよ」
「本当かよ!!」
「あぁ、エバークラシックだからね。オールスターは」
「これはそこらへんのオールスターじゃないんだ。アメリカでしか売っていないんだよ」
「何が違うんだ?」
「履けばわかるさ」
僕は沢山あるコンバースが増えることを望んだわけではないが、その違いには興味があった。
そして箱から取り出されたオールスターをよくよく見ると、踵のラバーの光沢が違っていること
にまず気づいた。
「どうだい?違うだろ!」
履いてみると全くの違いに気づいた。クッションが効いている。本来オールスターは地面を素足で
歩いてるかのような100年前のローテクの靴だったのに.........
「おっ、クッションだ!」僕は最初にそれを言った。
「全然違うだろ!」彼の言う通り、全く違う履き心地だった。
僕は黒のハイカットを一足購入した。
その夜、ダウンタウンにあるスノッブなホテルに泊まっていた僕はそのホテルのルーフトップバーで
遅くまで飲んだが翌朝、早朝に目が覚めたので、独りスタンプタウン コーヒーの旨いコーヒーを飲む
ために下に降りてきた。
日本では新しい靴は朝おろせ。
というのがある。僕もそれに習って、昨日買ったオールスターを早速おろした。
レストランの床、ブラック&ホワイトのセメントタイルとの対比は同色で面白い。
まだ人影もまばらなエースホテルのレストラン LA CHAPTERで買ったばかりの靴を眺めスタンプ タウン コーヒーを飲む時間は格別だ。
古いものはイイ。そして、時代に合わせ、進化を遂げたものはなおイイ。
C h u c k T a y l o r A l l - S t a r s は1917年にデビューした。2017年にこのオールスターは世に出て
100年を迎える。
デザインが時代を超えて生き続ける。
E V E R C L A S S I C A l l - S t a r s . .................................
IPAとハラペーニョのナチョス
IPAとは、もちろんインディアナ ペール エール。ビールのことだ。
僕はどこのビール屋に行ってもまずはこのIPAで始める。
IPAによる味比べだ。
ここ10バレル ブリューワリングはポートランド(オレゴン州)のダウンタウンにある比較的新しい店だ。
ビールは何を飲んでも旨い。その上このハラペーニョが乗ったナチョスは忘れがたい辛さと旨さを併せ
持った味で、こいつのおかげでビールが入ったパイントグラスはあっという間に空になる。
DRINK BEER !!
廊下の突き当たりにあるキッチュな看板
仰せのままに......................................
LPレコードの楽しみとは? リード マイルスよ いつまでも……………………………….
プラットアンドランバートペイントで塗られた壁にジャズのレコードが6枚
- R E C O R D F R A M E : M A D E O F W A L N U T D e s i g n b y T S U K U - H A E
上段左から、マイルス デイヴィス 、マル ウォルドロン 、リー モーガン
下段左から、チャールズ ミンガス 、セロニアス モンク 、ソニー クラーク
LPレコードの楽しみとは?、レコードを聴くこと?、ジャケットのデザインを愛でること?ジャズが好きな人は、レコードについて話す時( きっと惜しみなく )一時間を簡単に費やすだろう。
T S U K U - H A Eのウォルナット材でできたこの素晴らしいフレームを紹介するために先ず画像を準備した。撮影場所は僕の家だ。
画像を見ながらそれについて考察した。がしかし紹介文を書き始めると、もうフレームの紹介はどうでも良くなった。見る人が見れば、「おのずとモノの良さはお分かりいただけるだろう」と.......................
それよりもジャズとデザインの話をしよう。
さて、どのアルバムが良いか? そう、例えば左上のアルバムはどうだろうか。手書きの線でトランペットが中央に大きく描かれているこのアルバム。これはマイルス デイヴィスの有名なING 5部作の一枚 " COOKIN' "。このアルバムジャケットはグラフィックデザイナーであるリード マイルスによってデザインされた。ジャケットをよく見ると、トランペットの脇に小さくリード マイルスのサインがある。この面白さは、マイルス デイヴィスのレコードジャケットのデザインをリード マイルスがやった。ということではなく、プレステッジ レコードなのにリード マイルスがやっている。という所にある。
先ず、リード マイルスといえばブルーノート レコードのグラフィック デザイナーということになる。今では誰もが知るジャズのレーベル。 そのBLUE NOTE RECORDがメジャーからレジェンドになったのは、その秀逸なアルバム、特に1500番台と4000番台のレコード群によるところが大きいがこれらのレコードジャケットの大半をこのリード マイルスが担当しデザインした。
1954年、さほどジャズに興味があったわけではないこの若きグラフィックデザイナー リード マイルスが、自身の技術を仕事に生かす為にブルーノートレーベルの扉を叩いた。 ブルーノート レコードの創業者アルフレッド ライオンはドイツ人。この前時代、ドイツではバウハウスが生まれ、色彩やグラフィックについての考察が多いに行われていた。そのバウハウスの時代のドイツ人に気に入られる為に、リード マイルスはドイツ的モダンさを意識してジャケットデザインを考案し続けた。その結果、残ったのがこの不朽の名作達。(そしてはみ出して)プレステッジ レコードでもその素晴らしい技術は生かされた。
この素晴らしいレコード" COOKIN' "のように。
不思議なことにそれらは、時代の風雨に晒されても全く風化しないモダンさと新鮮さを保ちながら、今日でもコンテンポラリーなデザインとし生き続けている。
過去のデザインが現代においてもいまだにモダンであるこの事実。そして、いつまでも風化しないジャズとそのアルバムデザイン。
F o r e v e r R e i d M i l e s.........................................................
GO BANANAS !!
アメリカ人はバナナが好きだ。
ここはポートランド(オレゴン州)のホール フードの果物売り場。果物陳列用の什器のベースはスノーフェンスか
ランチフェンスだろうか。アメリカ産のポンデロッサ パインが退色した古材を使っている。
そしてアイアンを使ってぐるりとバナナを引っ掛けて陳列している。
「壮観」としか言いようがない。
ホール フードは美味しいものを売るだけでなく、お店のデザインも、什器も見るだけで楽しくなる空間を作っている。
ホームページも見ていて楽しい。 そして、ここに来れば何か美味しいものが必ず見つかる。
アメリカ人はバナナが大好きだ。
だから日常会話の慣用句でも非常に良くバナナを使う。
If I do all of this work, I'm gonna go bananas.(こんなにたくさん働いたら、頭がおかしくなっちゃうよ!!)
階段ベンチ
どういう訳か、LAでもNYでも座れる階段をよく見かける。
ニューヨークの最もヒップなコワーキング スペース NEUE HOUSE などはその走りだろうか。
NOMADO HOTELの脇のSWEET GREENにも階段ベンチはあった。タイムズスクエアの近くにある
CITY KITCHENを併設したROW HOTELにも座れそうな大きな階段があった。
そしてLA. サンタモニカからさほど遠くないヴェニスにアボット キニー通りがある。
そこにあるインテリジェンシア コーヒーは外にも内にもちょっと座れる階段が設けてあって、
お客はコーヒーを飲みながら、ラップトップを広げて各々の時間を思い思いに過ごしている。
この通り沿いにはすぐ先に靴のTOMSがある。そこにもやはり階段ベンチがあり、寛いだ空間に一役
買っている。コンクリート、鉄、木でできたカジュアルな空間。 そんな空間にある階段ベンチに
座布団がちょっとのっていれば、ちょうど良い設えと成りえる。
等身大で疲れない、そしてデイリーに過ごせる空間に階段ベンチは欠かせない装飾のように感じた。
深々と座るソファーも良いが、このちょうど良い感じがスニーカー、ジーンズの出で立ちにはピタッとはまるのだ。
e f i s h
「 京 都 だ っ た ら ど こ を 勧 め る ? 」 と 問 わ れ れ ば 、 僕 は こ こ " e f i s h "。
このロケーション、空間、静けさの中のせせらぎ。目を閉じてそこに座れば、京都が山紫水明と言われる所以を肌で感じることができる。
気取りのない、ちょっと良い日常感があるefish。過ごす時間がお昼時ならば、BLTサンドとマイヤーズ ダークラムのソーダ割りをリコメンド。