VENUS LINE
長野県にある八ヶ岳。その近くを走るヴィーナスライン。
僕は二十代の頃、会社の別荘がこの近所にあった為、部署の連中を誘っては蓼科や八ヶ岳に頻繁に出掛けた。当時は有り難みもわからずに通ったものだが、今思えば随分と贅沢な生活をさせてもらったものだ。
2000年に入り僕の生活拠点が変わった為、長野県は小淵沢で折り返すのが関の山となり、清里ですら遠い場所になってしまった。
数十年ぶりにヴィーナスラインを走りたいと思い、この10連休あるGWを利用して(とは言え日帰りで)行ってきた。往復480キロ。
なかなか走りごたえのある距離だ。僕の住む横浜から直線距離にすれば大阪の南港(フェリー乗り場)まで走れてしまう距離だ。
さすがにこの季節はライダーにとって最高の季節なので全国あちこちからオートバイ乗りが集まっていた。
どこまでも続くヴィーナスラインの景色は昔と変わらず素晴らしかったが、お年寄りをたくさん見かけることはあっても若いヴィーナスを見かけることは全くなかった。海外も良いけど日本のこんな近くに素晴らしい景色がある事は我々にとっては宝のようなものだ。若い頃には当たり前すぎて気づかなかったが、日本の田舎の景色はとても素晴らしい。都市にいて人工物に疲れたら田舎を走るに限る。
草木の香りが風にのって鼻腔をくすぐる。虫や土の匂いまでも感じる事ができる。旅の形はさまざまあるが、オートバイに乗ってする旅は格別なものがある。それだからライダーはオートバイから離れられないのである。