LINOLEUM

W H A T L I N O L E U M I S ?

最初に天板の素材で使用しているリノリウムについてお話しします。

リノリウムは天然素材で、亜麻仁油、石灰岩、ロジン、木粉、コルク粉、ジュート（麻）、天然色素を原料として製造されています。

木粉

松ヤニ（ロジン）

亜麻仁油

石灰岩

ジュート（麻）

造語であるリノリウムはラテン語でLINUM(亜麻）とOLEUM(油）からなる言葉で英国人フレデリック　ウォルトンが１８６０年に発明し、すでに１6０年以上経ちます。

TSUKU-HAEではオランダの老舗メーカーからの輸入製品を使用しています。

よく比較される素材で、通称塩ビ（塩化ビニール）があります。リノリウムの代替え品として後発でできた塩ビは、石油化学製品で生産効率も良く、安価で生産が早い為、市場に普及すると、天然素材であるリノリウムは徐々に衰退していきました。ところが、１９９０年代に塩化ビニールをはじめとする塩素系プラスチックがダイオキシンの主要発生源と考えられ、これが社会問題として浮上し不買運動に発展しました。質感においてリノリウムと塩ビの大きな違いは、石油化学製品である塩ビは表面に作った光沢感がある事と素材がツルツルして冷たい質感をしていると言う点です。リノリウム素材には光沢や艶はなく、少しクッション性がありながら暖かい質感をしています。紙に書き物をする際などは継がある木製の天板よりも筆の走りが良いでしょう。そういった背景を元に欧州では２０世紀後半から再び天然素材であるリノリウムへの見直しが始まり２１世紀に入って普及率が一気に向上し始めました。

天然素材100%のリノリウム。リノリウムは古くから使われてきた抗菌素材。

このリノリウムが市場に寄与した例は、医療衛生改革で知られるイギリスの看護師ナイチンゲールが衛生環境向上のために病院の内装材としてリノリウムを使用した事が有名です。

リノリウムの抗菌作用によって感染症を防いだ事などからその後欧州の医療機関において幅広く使われてきました。日本の病院の床でもリノリウム（フロアーリノリウム）を目にされた方も多いと思います。　21世紀の現代においても感染症はCOVID-19 (新型コロナウイルス）や毎年冬季になると生じる各種インフルエンザと言った問題を生じさせ広く社会を混乱させている事態があります。テーブルの上は衛生上最も接触が多い場所です。環境に対して現代ほど敏感で無かった1860年から始まったリノリウム素材は天然素材、抗菌素材として既に長い実績があります。

2016年に僕が訪れたドイツ、デッサウにあるバウハウスの校舎の床でもこのリノリウム素材は使用されていました。(バウハウス校舎の床で使用しているリノリウムはベルリンレッドと呼ばれています)　他にもデンマークデザインミュージアムのミュージアムカフェのテーブル。ウィーン応用美術館のミュージアムカフェのテーブルなどでも使用されていました。TSUKU-HAEがセレクトした古くて新しいマテリアル、天然素材100%の抗菌素材。それがリノリウムです。