t h e s t o r y o f N o . 1 4 i n d e t a i l s
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トーネット社のポスターカタログ(1873年発行)によるとこの製品NO.14番の椅子は3フローリンと書かれています。
現在の価格(日本円にして)約30,000円くらいでしょうか。この椅子が作られた当時のウィーンでは、椅子といえば華飾をまとい、高価な家具として装飾性の高いモノしかなく、庶民の予算では手が届かない。というのが情勢で、デザイン性を伴った市民の為の椅子というのはほぼ存在しませんでした。
THONETの創業者ミヒャエル トーネットは1859年にチェコ共和国(旧コーリチャン トーネット工場 1857年開業)でこの歴史的な曲木椅子no.14をマスプロダクト化し製造開始しました。その後、1861年に同じくチェコ共和国のビステリッツエに世界最大規模の曲木工場を作ります(下記画像)。このビステリッツエ工場はトーネットが保有した工場の中で最大規模のもので、最も多くの曲木椅子を生産し世界に出荷しました。ビステリッツエ工場が開業した後、ミヒャエルと後の経営者となる息子のアウグストはウィーンからこの街に越してきて、研究と開発の日々を送りました。 現在もこの世界最大、最古の曲木工場( 現TON a.s. ) は当時と同じ手法で曲木家具を製造している世界最大の曲木家具工場です。
その後150年以上にわたって製造は続けられ「NO.14番が世界で最も売れた椅子」となった理由は椅子のディテールやデザインはもちろん、工場のオペレーション方法やKD(ノックダウン)式の物流方法、そしてローカルなエリアで操業を行うことで安価に作り、安価に供給する事を実現できた事が最大理由です。
ミヒャエル トーネットが考案したno.14やアウグスト トーネットが考案したno.18、no30そしてヨセフ ホフマンが考案したno.811などは全てその始まりは、旧オーストリア帝国製
(現 チェコ共和国製 )でした。メイド イン チェコ共和国であるという事は曲木家具のオリジンであるという証左なのです。
世界中の美術館に収蔵され、19世紀にはアドルフ ロースに、20世紀にはヨセフ ホフマン、ル・コルビュジエ、イームス、ウェグナー、ヤコブセン、アアルトといった建築、インテリアに関わるそれぞれの時代の巨匠たち全てに影響を与え続け、近年においてはローマン&ウィリアムス、コミューン、ヘルツォーク・ド・ムーロン、ホーム ストゥーディオス、リンド+アーモンドといったトップデザイナーが選ぶ椅子。それがこのベントウッド(曲木)の椅子 14番 です。